斎藤茂吉の色紙を読んでみましょう!

俳句を主宰している友人から俳句や短歌などの短冊色紙などたくさんいただきました。くずし字の学習に活用くださいとのことでありがたく感謝しています。

これから解読できたものから順次掲載します。まず初めに斎藤茂吉の短歌の色紙です。変体仮名が使われています。これは茂吉の記念展に於ける複製です。

明治33年の「小学校施行規則」で仮名が一音一字に決められた結果、現行のひらがなとカタカナになりました。それ以外の字体(あ:阿・愛・悪・亜など)は「変体仮名」と呼ばれ、教育現場では指導されなくなりました。もちろんすべてすぐに一音一字になったのではなく、社会生活においては変体仮名を学んだ人たちは使っていたわけです。現在ではほとんど読めない状況になってしましました。

くずし字解読

さて、上掲の歌は、斎藤茂吉「ふ(婦)りさけて 峠を(乎)見れ(連)ば(盤) 現身は(者) 低きにより(里)て  山を越えにき 茂吉」です。

簡単な意訳

斎藤茂吉歌集「たかはら」昭和5年、高野山で開かれたアララギ安居会(あんごえ)に参加したときの歌で、「紀見峠遠望」と註がある。意訳すると、遠く仰ぎ見ると峠か見える、そこで生きている人々は山の低いところを通って苦労を少なくするために苦心して道路を作り行き来をして生活していたのだなという気付きを詠んだ歌

茂吉の筆跡と行動傾向

さて、色紙の書き方をみて、揮毫するという行動から、同じ行動である、話す、歩く、食べるなど共通の日常に於ける行動スタイルを少し、推察してみましょう!もちろん色紙揮毫という日常とは違う意識も働いていることになりますが、これは特に何かを構えて意識したときの行動、対人関係の表れになるかと思います。

斎藤茂吉は、この色紙では、一文字一文字、上下左右や文字間を等間隔にきちんと並べて配置する書き方です。これは全体への配慮や文字と文字の間をあけて落ち着いた書き方です。一つ一つ確実に計算して訂正に行動する傾向が見えます。几帳面といってよいでしょうか?

茂吉の性格をネット検索すると、何事も準備を十分にし、独自の価値観を持ち、とことん極める傾向があるようです。半面、他人に厳しい面もあります。行書体で書かれていますので、感性も感情も豊かな面もあるようです。