街々の書~少し右下がりの横画

「人の値うちと たばこの味は 灰にならなきゃ わからない」

川越・喜多院近くの煙草自販機の張り紙です。味のある筆跡と言葉

思わず、写真を撮らせていただきました!横画が少し右上がりの「値」「味」「灰」に混ざって多少右に下がった「太」の第1画、「古(こ)」の第1画、「奈(な)」の第1画が見られます。横画右下がりに書く人は、前回書きましたが、すぐに行動するのではなく、一歩控えて考えて行動するタイプの人と思われます。右上がりが多数を占める中にあって、少数派です。右下がりは、ちょっとまてよ!と踏み出す前に同調すべきかどうか一旦足を止めて判断する傾向にありると考えます。したがって、独自の思考や行動傾向があると考えます。職業では学者や評論家などに多いとされる筆跡です。

また、「値」の最後の点はバランスを取る「飾り点」でしょうか? 文字の大小の変化や線の太細の変化、絶妙な書き方です。変体仮名を使っていることから年配の方でしょうか? 文字の最終画をしっかり止めて、落ち着いて書いているところにも最後まで力を抜かずにやり通す力があると思います。

また、最近の若者はハネはない傾向にありますが、力強く撥ねています。最後に力を込めてやり抜く忍耐力もあるかと思います。味のある言葉を書く人の筆跡であることも頷かれます。最近の美文字に劣らない、いやそれ以上の味わいのある筆跡です。