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ブログ
2020年8月6日
筆跡診断と筆跡鑑定の違い
よく筆跡鑑定と筆跡診断とを間違われます!

筆跡鑑定という言葉は世間に浸透していますが、筆跡診断は聞いたことがない人が多く、そこで筆跡鑑定と言われたり、すぐに理解したりしてもらえません。

私は、大きく言えば筆跡鑑定の中の一つが筆跡診断だと思うのですが。

筆跡鑑定は書いた筆跡が同一人物であるか否かの真偽を鑑定するもの。

筆跡診断は書かれた筆跡から書いた人物の行動傾向を診断するものです。

「診断」とい呼び名をするわけは「健康診断」がいろいろな検査結果から健康状態を把握するように、「筆跡診断」は、書かれた筆跡の特徴を調べて、そこからその人物の行動傾向を診断するものです。

筆跡で性格がわかると言ったりする人もいますが、性格と行動の関係は後日に譲るとして、書道史家・書家の石川九楊氏は月刊誌「サライ」2018.2月号の西郷隆盛の特集の中で「書は人なり、などといいますが、書は書いた人の性格を映すのではなく、書いた人の行動のスタイルを如実に映し出すのです」と語る、と紹介されています。これに私も賛同しています。

筆跡で性格がわかると、というと、皆さん占いのように、自分の性格がわかるのは怖いとか言いながら、でも興味を持っていただけるようです。石川九楊氏が言うように「性格ではなく行動スタイルがわかるのです」

更に「性格」の場合、一般に「良い・悪い」で考えがちです。「性格」といわれるものに本来、良い悪いは私はない考えます。明るい性格というとよく聞こえますが、時にはうるさいこともあるでしょう。暗い性格といっても、沈着冷静で、考えることが好きという面が強いだけかもしれません。解釈は人様々です。一喜一憂せずにじっくり筆跡を観察し自分の行動の特徴を生かすのが良いと思います。

「筆跡診断」というのは、相芸会 日本筆跡診断士協会の森岡会長が命名したものです。森岡会長は1983年光文社から「筆相判断」という本を出版しました。ところが、その本は占いのコーナーに置かれてしまい、会長は、「筆相」の「相」は理科などで言われる「相」を想定していたので、驚いたと語っています。

広辞苑によれば、「相」(そう)は、

①姿。ありさま。外見。形状。②物にあらわれた吉凶。また、それを見ること。③(仏)性質。特徴。現象的なすがた。④(言)アスペクト2に同じ。広辞苑の「アスペクト2では(言)相そう。動詞があらわす動作や形状の時間的な局面・様相(例えば開始・終結・継続・反復)。完了形や進行形などの形式や、特別の動詞を用いて表現される。」とある。「相」の⑤(理)(phase)では、物質系の一部がその内部で物理的・化学的に全く同一性質を示す時、その部分が同じ相にあるという。二つ以上の相の間の平衡は相律によって論じられる。さらに⑧、⑨と続く。

森岡会長は、⑤の物理の意味と考えていたが、①の意味にとられてしまうということをよく話していました。

④の言語・音韻の意味のアスペストは、筆跡は「書く」という行動(行動は動詞で多く表される)なので、石川九楊氏は、この辺も踏まえて、言葉を書くということについて「筆蝕」という造語で様々な著述の中で説明している。


最新のお知らせ

2024年4月13日
「女子消息文の手ほどき」も65段まで読み進めました。次回は66段「転居報知の文(てんきょほうちのふみ)」から読み進めます。

当時の手紙文の言葉の使い方や言い回しが時代を感じさせます。「引っ越し」を「引き移し」等。

2024年4月2日
川越筆跡研究所での陶印づくりは4月14日(日)13:00~16:00の予定です。

入口前

 

受付

 

陶印と書


陶印

 

いろいろな手工芸品もありました。

 

収集家の俳句と画

第1回陶印等小作品展が三番町ギャラリーで開催し、無事終了いたしました。ご高覧、ご協力をいただきました皆様に感謝申し上げます。合わせて筆跡による行動分析(筆跡診断)や筆跡鑑定、くずし字解読などについて紹介させていただきました。筆跡診断体験や中国陶印篆刻体験をされた方々にも感謝申し上げます。また次年度開催予定です。更に出品をしていただけるとの声もあり本当にありがたいことです。


入口はいったところ

 

インテリアの書展
受賞作2点

 

入口より中を撮影


花舞(はがき)

 

ねがい(はがき)

 

希望(手漉き和紙はがき)

2024年3月13日

15日(金)午前中及び17日(日)午後1時~3時は川越筆跡研究所で行ないます。

焼成前の陶印などです。

焼成後の作品と肌色の絵付けしてない作品は素焼きしたものです。

最新のブログ

2022年11月21日
資料を研究などに提供してくださる場合は格安で解読します。

額の文字の解読

これは、友人である俳誌「軸」を主宰し、なおかつ千葉県野田市で俳句図書館を運営している秋尾 敏氏の依頼によってくずし字を解読を協力にいたりました。図録が500円で頒布されています。機会あらば、ぜひ江東区芭蕉記念館を訪れゆかりの地など周辺を散策するのも良いかと思います。


署名の解読及び落款印の解読

明治時代のハガキの例

2024年2月26日
川越駅東口から徒歩3~5分のところにある三番町ギャラリーで陶印づくりを楽しんでいる仲間と初めて展覧会を開催します。賛助出品者からサンドブラスト作品・万華鏡・陶器の茶器・収蔵の皇帝印璽・書画など展示予定。ただただおしゃべりをして失敗を楽しみ次に活かしています。

中国陶印は印刀で彫れて持ち帰り可能です。体験も実施しています。また日頃研究している筆跡セラピー(筆跡診断)も実施しています。

  • 中国陶印篆刻体験(材料込1,500円) 筆跡セラピー(15分500円)
  • ご高覧いただき、御批正賜れば幸甚に存じます。

    陶印・筆置き・ペーパーウェイト・ミニ下駄等、陶器の小物や小品書・その他雑貨小物があります。

    2023年10月11日
    2023.9.14日(木)から2024.1.21日(日)まで東京都江東区芭蕉記念館において開催されている「旧派再考~子規に『月次』といわれた俳家たち~」という企画展の図録に掲載されている軸・短冊・色紙など50点の俳句翻刻に協力しました。

    これは、友人である俳誌「軸」を主宰し、なおかつ千葉県野田市で俳句図書館を運営している秋尾 敏氏の依頼によってくずし字を解読を協力にいたりました。図録が500円で頒布されています。機会あらば、ぜひ江東区芭蕉記念館を訪れゆかりの地など周辺を散策するのも良いかと思います。


    俳句翻刻を協力した図録です。

    東京都江東区芭蕉記念館企画展「旧派再考~子規に『月次』といわれた俳家たち~

    2023年4月18日
    大変味わい深い文章と筆跡と思い引用させていただきました。

    「埼玉・人とこころ」令和5年度特集号に小暮晴彦氏の渋沢栄一講座と題された中に、本多静六博士の書簡が一通紹介されていました。内容はその記載の中でも紹介されていますが、手紙の全文は解読されていませんでしたので、試しに解読してみました。間違いなどありましたらご批正ください。

    「埼玉・人とこころ」令和5年度特集号より引用~小暮晴彦氏の記事~


    筆者の解読文

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